意思決定アプローチ 「分析と決断」
タイトルが最近考えてたことまんまだったのでポチっとしました。
多分とても大事なことが書いてありまして、1999年というちょっと前の本ではあるものの、今でも通用する内容になってます。
- 作者: ジョン・S.ハモンド,ハワードライファ,ラルフ・L.キーニー,John S. Hammond,Howard Raiffa,Ralph L. Keeney,小林龍司
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 1999/07
- メディア: 単行本
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まぁ今だともう少しリーンスタートな概念がフォーカスされるわけですが、一応第2章に「実際に行動しながら問題の定義を再検討する」とかあったりするわけです。
目次が世の中に転がってなかったので書いておきます。 目次だけ読めば大体のニュアンスが分かって、そしてそれで充分な本かもしれない。
ただ、一応意思決定の事例も載っており、特に「応用例」に書いてあることにピンと来た人は買っても全く損はしないと思います。中古しかないけど。
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第1章 良い意思決定が成功の可能性を高める
・日常的に意思決定が求められている
・意思決定の能力と生活上の基本的な能力はイコールである
・合理的な意思決定のプロセスは6つの基準で構成されている
・「PrOACT」アプローチで解決の糸口をつかむ
・8つの要素の機能
・「PrOACT」アプローチが生み出す利益を確かなものとする
・応用例1:株式を売却して新会社を興すべきか
※Problem(問題),Objectives(目的),Alternatives(選択肢),Consequences(結果),Tradeoffs(妥協点)
第2章 何が「問題」なのか正しく把握する
・問題の明確化がその後のプロセスをスムーズに動かす
・問題を創造的に定義する
・問題をチャンスに変える
・基本的な問題を書きとめ、疑問をもち、再考する
・実際に行動しながら問題の定義を再検討する
・時間、重要性、緊急性、心的エネルギーのバランスをとる
・応用例2:ミーティングのスケジュールを調整出来ない
・応用例3:第2子の誕生を控え、増築を考える
アドバイス:問題の定義づけには多くの時間を割き、制約条件を吟味する
第3章 「目的」を明らかにする
・目的はきわめて個人的なものだが、自己中心的なものではない
・目的を案内役として正しい路線を進む
・深い自己分析を通して目的を浮き彫りにする
・目的を体系化する
・最終目的をより明らかにする
・応用例4:娘の教育と学校に関する評価項目リストをつくる
・応用例5:「家族が家に望むこと」リストをつくる
・アドバイス:リスト作成プロセスを改善し、グレードアップを図る
第4章 創造力豊かな「選択肢」をつくる
・決定の仕方に共通する問題点
・良い選択肢を作り出すには考える時間がひつようとなる
・選択肢を問題にあわせる
・検討する期間を定める
・応用例6:授業料を返還して転職すべきか
・応用例7:決定すべき時期がなかなか決まらない
・アドバイス:より適切な行動をとるために
第5章 予想される「結果」を見極める
・結果を本当に理解しているかどうか確認する
・性格、明瞭、完全をめざす
・結果表を作成する
・結果表をもとに選択肢を比較する
・結果を具体的に記述する
・応用例8:説得力のある結果表をつくる
・アドバイス:結果のプロセスの完成度を高める
第6章 「妥協点」を探りだす
・次元の異なる目的はどのようにして比較・評価するか
・劣る選択肢を見つけ出して削除する
・選択肢間の相互交換
・等価交換メソードは物々交換と同じである
・等価交換メソードの機能
・等価交換で複雑な問題を単純化する
・機械的に処理して1つの価値判断に集中する
・応用例9:目的に従って物件に順位をつける
・アドバイス:最終的な決断を下す前に検証を重ねる
第7章 「不確実性」に含まれる可能性を数値化する
・不明確な事柄の存在を認識し、影響や結果などを順序立てて考える
・賢明な選択と良い結果を区別する
・決定を単純化するためにリスク・プロフィールをつくる
・カギとなる不確実性を特定する
・起こりうる事象を明確にする
・可能性を予測する
・結果(効果)を事前に明らかにする
・意思決定ツリーでリスク・プロフィールを表す
・応用例10:入札のためのリスク・プロフィール
・応用例11:体系的なリスク・プロフィール
・応用例12:飛行機の時間に間に合う確率を計算する
・応用例13:事故を示談にすべきか、裁判にもちこむべきか
・アドバイス:選択肢を比較する際、4つの要素を念頭におく
第8章 「リスク許容度」を認識する
・好ましいリスクに焦点をあわせる
・どの程度のリスクであれば許容できるのか理解する
・リスク許容度を知るためのステップ
・望ましさのレベルをポイントに置き換えてリスク許容度を数値化する
・重要な意思決定に望ましさ度アプローチを取り入れる
・望ましさ度カーブを用いて早期解決を図る
・落とし穴を警戒する
・リスクを管理して新たなチャンスを創出する
・応用例14:和解で決着する
・アドバイス:自分自身のリスクに対する態度を問う
第9章 「関連する意思決定」を心がける
・難しければ難しいほど達成感は高くなる
・将来の計画を立てる
・分析作業を進めるためのステップ
・さまざまな事態に対処できるよう柔軟な計画を立てる
・応用例15:どちらのマーケティング・コンセプトを選ぶべきか
・応用例16:解雇を予想して今後の進路を選ぶ
・アドバイス:さらに遠くを見通して計画を立てる
第10章 心理的な罠に注意する
・ヒューリスティックには「騙し」が潜んでいる
・「アンカリング」の罠
・「アンカリング」の罠を回避するテクニック
・「現状維持」の罠
・「現状維持」の罠を回避するテクニック
・「過去の支出」の罠
・「過去の支出」の罠を回避するテクニック
・「自己正当化」の罠
・「自己正当化」の罠を回避するテクニック
・「表現」の罠
・「表現」の罠を回避するテクニック
・「自信過剰」の罠
・「自信過剰」の罠を回避するテクニック
・「記憶」の罠
・「記憶」の罠を回避するテクニック
・「基準率」先送りの罠
・「基準率」先送りの罠を回避するテクニック
・「用心深さ」の罠
・「用心深さ」の罠を回避するテクニック
・「ランダム」の裏をかく罠
・「ランダム」の裏をかく罠を回避するテクニック
・「思いがけないこと」に驚く罠
・「思いがけないこと」に驚く罠を回避するテクニック
・心理的な罠を認識し、知性を働かせる
・応用例17:公平な判断を期すために担当者を交代させる
第11章 賢い決定者を目指す
・賢明な選択の実行が約束される
・とにかくはじめる
・重要な問題に集中する
・問題を計画的に攻略する
・複雑さを徐々に取り除いていく
・停止状態を解除する
・分析の期限を切る
・アドバイザーを賢く使う
・基本原則を確立する
・自分のスタイルを創造する
・あなた自身が決定する
・最後は実践がものをいう
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すごく大事なことがいっぱい書いてあり、これをキチンと実践できるならかなり優秀な意思決定者になれるんだろうと思います。しかし、第11章の最後でも書いているように、「最後は実践がものを言う」世界。というか最初から実践がものをいう。
まだ自走できてない人がこの本をバイブルに自分で意思決定力を磨くって難しくて、現場での「できる人」からのフィードバックが欠かせないと思います。
コンサルファームの強みはそこにあるのでしょう。人のフィードバックなく学べてしまう一部の天才を除き、日々実践で思考を磨いてくれる人が近くにいることほど、成長できる環境はないわけで。
こういう学習のプロセスをサポートできるイノベーティブなツールはないものだろうかなぁ。作りたい。というか自分が欲しい。
あと1点だけあるとすると、「不確実性」を確率で議論しているけど、本当に「不確実」なものって確率ですら表現できないんじゃないかと思う。数値化が無理なレベルで不確実なものを含めて判断する際に立ち戻って考えるのは、ここにもあるように「目的」なんじゃないかと。
どんな世界を目指すか、何をしたいのかに立脚して、少し損したとしても押し切ることが必要な気がした。抽象的でごめんなさい。